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グルタミンって何?

 

グルタミンって何?

 

グルタミン酸はご存じの方も多くいらっしゃると思います。味の素のグルタミン酸ナトリウムは日本の世界に誇るうまみ調味料です。

グルタミンはそれとは違う物です。人体の約20%を占めるタンパク質は、筋肉やホルモンなどを合成します。このタンパク質の材料の1つのアミノ酸の一種です。

20種類のアミノ酸が人体構成には必要ですが、なんとグルタミンは体内でなんと50%をも占めているアミノ酸なのです。それを聞いただけでもグルタミンが重要なのがわかりますよね。足りないと困るアミノ酸です。非必須アミノ酸と言われ、体内で合成可能なアミノ酸ですが、実際は足りなくなることも多いです。術後やけがを負った際など特定の状況では補給した方が望ましいとされるため、「条件付き必須アミノ酸」と呼ばれることもあります。

さて、グルタミンはどんな食材に含まれているのでしょうか?

 

レバーや豚肉、大豆、魚、卵、小麦粉、チーズ、乳製品、海藻、サトウキビ、トマト、ほうれん草など

 

グルタミンはアミノ酸の一種なので、たんぱく質の豊富な食材に多く含まれますが、グルタミンは、熱や酸に弱く、お酢などの酸性食品との組み合わせにより、グルタミンの成分が壊れてしまう特徴があります。サラダやお刺身など生で食べられる調理法だと効率的に摂取することができます。ただし、無理なダイエットをしている方や食事摂取量の低下しやすいお年寄りなどでは不足することがあります。私の栄養療法外来に受診してくださる方はほとんど不足しておられます。

 

グルタミンを栄養療法で勧める理由

 

グルタミンは、胃の粘膜、腸内の粘膜にある絨毛のエネルギー源となります。

腸内の絨毛は細胞分裂が活発に行われており、古い絨毛が剥がれ落ち、常に新しい絨毛が作られています。

栄養は、腸内の絨毛から体内に取り入れられます。腸管の絨毛は通常、毛の長いじゅうたんのような状態になっています。グルタミンが不足し、絨毛の毛が短くなると、細菌やウイルスが侵入しやすくなってしまいます。グルタミンは、この絨毛を再生する働きや、委縮してしまった腸管も再生する働きがあります。さらに、ある研究では体内に蓄えられているグルタミンが腸管に働きかけ、生体内へバクテリアなど細菌の侵入を防ぐ働きがあるといわれています。栄養を入れたとしても、その栄養を吸収出来なければ、どうしようもありません。

また、グルタミンは消化管細胞に働きかけることで全身の免疫改善に関与していると考えられています。人の体の免疫システムのなかで、消化管は最も多くの機能を担っていると考えられています。これは、消化管内部に存在する数兆もの腸内細菌と一緒に、消化管の細胞も免疫機能を持っているためで、人の体の免疫に大きな影響を与えるのです。

また、グルタミンは筋肉を分解してエネルギーとして使用されるのを抑制する作用があります。筋肉の分解を抑制する効果です。運動やトレーニングなどで身体に強いストレスがかかると、筋肉中に蓄積されていたグルタミンが放出され、身体がそのグルタミンを補給することで、タンパク質を分解することを防いでいます。また、ある研究ではグルタミンは運動やトレーニング後の筋肉痛を減少させ、筋肉の回復を早める効果もあるといわれています。

 

運動時にはエネルギーとして筋肉内のグルタミンが消費され、数日以上継続して運動した場合には体内のグルタミン量の回復にも数日以上の日数がかかるといわれています。グルタミンは筋肉だけでなく全身のあらゆる組織や臓器で消費されるため、運動によって消費されると筋肉のエネルギーとして不足してしまうことがあります。このような状況で運動を続けると「オーバートレーニング症候群」を引き起こし、全身のだるさや微熱、体重減少などさまざまな不調を来すことがあるのです。そうならないように筋肉の回復のために、グルタミンを足してあげる意味が分かると思います。

また、グルタミンは肝臓のエネルギー源と肝細胞の増殖を促す作用があるとされ、肝臓の機能を正常に保つ効果が期待できるといわれています。

 

【肝臓の主な役割】

1. アルコールやアンモニアなどの成分を解毒する

2. 食事から摂取した栄養素を体内で利用できるエネルギーに変化させる

3. ブドウ糖をグリコーゲンに変化させ体内でエネルギーとして利用できるよう蓄えておく

4. 血液を固める「凝固因子」を産生する

5. 脂肪分を消化・吸収する作用のある「胆汁」を産生する

 

栄養療法外来においては、副腎疲労(HPA軸機能障害)における低血糖予防対策にグルタミンを取っていただく事も多いです。

 

サプリメントでグルタミンを補う場合

 

Lグルタミンをサプリメントで摂取する場合は、便通をみながら、2㌘くらいから少しずつ増やしていくようにしましょう。胃腸の粘膜に問題がある方は、便秘にならなければ、10㌘くらい摂取されても良いと思われます。また、運動量が激しい方で胃腸障害や、風邪を引きやすさ、下痢などある方も同様の量をお勧めします。筋トレを激しくされている方は、20クラムくらいとってもかまわない方も多いです。ただ、自己判断は禁物なので、定期的な採血をお勧めいたします。